診察室で感じた課題を、毎日のスキンケアに。「yorisoT(ヨリソット)保湿乳液」 ができるまで【皮膚科医・上西香子先生×COSMEL対談】

右「yorisoT(ヨリソット)」ブランドオーナー PROJECT宙合同会社 上西香子先生
左 COSMEL株式会社 企画開発担当 箱崎かおり

Client
PROJECT宙合同会社 様
事業:化粧品販売

ご自身もアトピーを経験したことから、アトピー関連の研究で博士号を取得し、医師の道へ進んだ上西香子先生。
皮膚科医として31年にわたり、一人ひとりの肌悩みと向き合う中で気づいたのは、「必ずしも薬が必要な状態ではないのに、肌に合う化粧品が見つからず薬に頼りがちな人」の存在でした。

「yorisoT(ヨリソット)保湿乳液」は、構想から7年をかけて2025年9月21日に発売されました。
敏感さや乾燥、忙しさから満足にケアができなかった人が、肌に悩む時間を減らしたい。そんな思いが込められたアイテムです。

今回の記事では、医師としての仕事と並行してスキンケアブランドの立ち上げを決意した背景や、処方や使用感のこだわりについて、上西香子先生に取材しました。

1.化粧品を作りたい。その思いから始まった7年間。

上西香子先生(以下、敬称略):
もともと化粧品が好きだったんです。
私自身も肌が弱くて悩んだ経験があるので、毎日続けられるシンプルな保湿アイテムを作りたいと考えていました。

実際に作ってみようと動き始めたきっかけは、プライベートで参加していた化粧品業界の交流会のつながりで参加した、美容乳液の発表会でした。
テクスチャーのすばらしさに感動すると同時に、「私が作るんだったら、こうしたい」という気持ちが湧き上がってきたんですよね。

これが、商品の発売から約7年前の出来事でした。

COSMEL㈱ 開発担当 箱崎(以下、箱崎):
振り返ると、上西先生と弊社の白野、そして私の3名が出会ったのもその交流会でした。
本当にいろいろな出会いがつながった場所でしたね。

上西:
はい。誰に届けたいのか、具体的なターゲットが決まっていないことに気づいて、開発を中断しました。
作りたいという気持ちだけで作っても、その先に届けたい相手が見えてこなければ、商品を広げていくのが難しいと思ったんです。

COSMEL㈱ 開発サポート 白野(以下、白野):
その頃は「作ることがゴールになっていると、その先が大変だけど大丈夫?」という話をしていましたね。

上西:
そうですね。それもあって、「一度立ち止まって考えてみよう」と思いました。

でも中断している間は、「こういうのをやりたい」という気持ちが自然に出てくるまで、ある意味放置していました(笑)。
普通の生活の中にも、ヒントがあるんじゃないかと思っていたので。

2.診療の中で見えてきた「届けたい人」。肌に合う化粧品を諦めた人たち

上西:
皮膚科医を選んだ理由は、私自身にアトピーの経験があったことが大きいですね。

始めは大学病院に勤務していましたが、曜日ごとに別の医師が対応したり、通院の予定が変わったりと、同じ患者さんを継続して診るのが難しい環境でした。
もっと一人ひとりの患者さんと向き合い、できるだけ長く診ていきたくて、保険診療の皮膚科を開業しました。

上西:
診察室で「なかなか合う化粧品がない」という声を幾度となく聞きましたし、中には「もう薬しか使わない」と、化粧品を使うのを諦めている方もいらっしゃいました。

保湿力も使用感も満足できる化粧品が見つけられないから、だったら使用感が多少悪くても、確実に効果が期待できる薬を使いたい方が少なくないんですよね。

もちろん、治療のために本当に薬が必要な人もいらっしゃいます。
ただ肌が弱くて荒れやすいという理由だけで、薬に頼りがちになっている方が多いのは当時から気になっていました。

箱崎:
上西先生が実感されていたように、日常のスキンケアまで薬に頼りがちな方も多いんですよね。
当時は、保湿の外用薬が美容目的で使われることも社会問題になっていましたし。

上西:
そうですね。「普通の化粧品でも間に合うけど、薬の方が安心」という方はいらっしゃいますよね。

そういった方たちに、「化粧品でも、こんなに保湿感があって使い心地がいいものがあるんだ」と感じてもらいたい気持ちは大きかったです。

特にお子さんにも使っていただきたかったので、できるだけ安く、中身にこだわったものにしようと考えていました。

白野:
上西先生の中で自問自答を繰り返して覚悟を決めたと思うんですけど、私としてはあるとき急に「やっぱり私、化粧品作ります!」と言われたような印象があるんですよね。
きっと何か決意をするようなことがあったんだなと。

確かその頃は、ちょうどCOSMELが発足した時期でした。 

上西:
開発再開の覚悟を決めたきっかけが、具体的にあったわけではないんです。
ただ診療を続けていく中で、「こういう方たちに届けたい」という思いが、だんだん芽生えてきたんだと思います。

そういえば、ブランド名の「yorisoT」も、ある日ふと降りてきたんですよね。

肌が弱い人にそっと寄り添って、肌に悩む時間を減らしたい。
鏡を見るたびに、自分を少し好きになってほしい。
そんな思いを込めています。

3.「こんな乳液がほしい」を形に。使用感を犠牲にしない高保湿処方の追求

上西:
まずは「本当に商品が作れるのだろうか?」という漠然とした不安がありました。

でもCOSMELというパートナーに出会って、自分のイメージに合ったベース処方ができたときに、嬉しい気持ちとともに不安が消えましたね。

保湿アイテムって、ベース処方が命だと思っているんです。
例えば薬の保湿剤も、クリームやローションのように剤型が違えば、有効成分が同じでも保湿力も変わってくるので。

だからベース処方ができて、保湿感やテクスチャーを確認したときに、「あ、いける」という感覚がありましたね。

白野:
「ベース処方が一番大事」という上西先生の考え方は、処方を考える側でも大切にしたいと思っていました。

先生が言葉にされた「こうしたい」というイメージが、実際の処方として形になっていく。
その過程で、最初にあった漠然とした不安も、少しずつ解消されていったのかなと思います。

上西:
そうですね。過度な摩擦は肌にとって良くないですし、乾燥も「悪」だと思っています。
乳液なので、「保湿」も「摩擦を避けること」も、どちらも大切にしたいと考えていました。

白野:
そこは開発当初から特に意識して、丁寧に処方に落とし込みました。

摩擦を抑えられるように伸びがよく、厚みをもって広がる乳液にして、うるおいが肌に留まるような使用感を目指しました。

箱崎:
容器とバルク(中身)の相性は、実際に合わせないとわからないことも多いんです。
通常はある程度、どんな容器を使うのかをイメージしながらバルクを作ることが多いのですが、今回の開発はもともと乳液が先にあって、その後に使い勝手やデザインから容器を決めたんですよ。

そこで選んだチューブ容器とバルクの相性を確認したら思いのほか良くなく、垂れてしまうのが早めにわかったので、そこからテクスチャーの調整を重ねました。

上西:
やっぱり、肌に負担なく塗り広げたかったからですね。
チューブから垂れないように粘度を上げた際に、肌の上で塗り広げるときの伸びがどうしても悪くなってしまって。

白野:
粘度を上げるとクリームに近い処方になるんですけど、上西先生は「これじゃない」とおっしゃったんですよ。

クリームっぽいテクスチャーの方がしっかり保湿されたように感じやすくて、クライアント様に喜ばれることが多かったんですけど、上西先生の場合は違った。

上西:
クリームでしっかり保湿できるものは、普通にあると思うんです。
だから「乳液だけどしっとり」という部分に、どうしてもこだわりたかったんですよね。 

白野:
そう、そのこだわりがひしひしと伝わってきました。
先生がイメージするのは、とにかく伸びがよいのにしっとりする、あくまで「乳液」なんだな、と。

先生の使用感へのこだわりが半端ないなと感じていたので、そこは妥協せずに調整していきました。
処方検討を繰り返していたら、1年以上かかってしまいましたね。

4.使う人を思い浮かべながら、容器まで選び抜いたユニバーサルデザイン

箱崎:
チューブ容器の代替を検討するとき、「忙しい人が蓋をなくさないように」ということを上西先生がすごく気にされていたので、ワンタッチキャップの容器を検討しました。

上西:
最初は、先がとがったノズルのとんがりキャップも候補にあって、出しやすそうだと思ったんです。

でも使ってくださる人のことを考えると、やっぱり蓋がくっついているワンタッチの方がいいなと。

それに上向きで置いていると、中身が少ないときになかなか出てこなくて、ストレスになるんですよね。
とんがりキャップだと逆さに置けないので、それもあってやめました。

白野:
ポンプ容器は最初に候補からなくなりましたよね。
押すのに力が必要なので、ご高齢の方には使いづらいかもしれない、というお話があって。
上西先生の場合、デザインも大事にしているけど、その先に必ず「使う人がどう感じるか」があるんです。

お子さんからご高齢の方まで、診療を通していろいろな人を見ているからこそ、使いやすさを意識されているんだと思って。そこがすごく印象的でした。

上西:
どなたでも使いやすいことと、逆さまに置けば最後まで使い切りやすいことを考えて、スクイーズ性のある平蓋のワンタッチキャップの容器に変更しました。

箱崎:
化粧品の開発を進めていくと、コストや使用感以外にも、さまざまな場面でトレードオフがあります。
その際は「何を得ることによって、何が叶わなくなるのか」を明確にして、クライアント様に選んでいただくことを意識しています。

上西先生の場合は、粘度を容器に合わせると理想の使用感から離れてしまい、使用感も粘度もクリアできる新規増粘剤を採用すると単価が上がりすぎてしまう、という状態でした。

このままでは上西先生が届けたい「価値」を届けられなくなってしまう。
そう考えて優先順位を整理した結果、容器を変更することにしました。

先生はこだわりがすごく明確だったので、その分苦労したこともあったんですけど、だからこそ方針をブレさせずに進められたと感じます。

上西:
COSMELさん以外だったら、ここまでわがままを実現した製品はできなかったと思いますね。

5.知名度ではなく、エビデンスを重視して選んだキー成分

上西:
COSMELさんが多くの原料から吟味して、試験データが豊富なキー成分を提案してくださったので、そこから私が選びました。

もともと微量の添加は考えていなくて、しっかりデータが取れている成分を、推奨量で配合したいと思っていたんです。

化粧品の原料にはあまり詳しくなかったので、エビデンスも含めて提案していただけたのは心強かったですね。

箱崎:
上西先生のお人柄や考え方も知っていたから、先生が大切にされていることにマッチした原料を提案できたのかなと思います。
エビデンスのある原料を集めたり、データを見ながら選んでいただいたり、「先生だからこそ」という提案ができました。

中でも「SymCalmin®」は原料メーカーさんのイチオシだったのですが、上西先生がデータを見て、その原料を選び抜かれたんですよ。
ここでデータを詳しくご紹介できないのが、本当に惜しいくらいなんです。

その後、別の案件でも「SymCalmin®を使うのはどうか」という話が出たことがあって。

改めて良い原料だと感じましたし、上西先生が数ある原料の中から選ばれたものには、それだけの理由があるんだなと思いましたね。

6.「寄り添う」を形に。デザインから撮影までの裏側 

上西:
「やさしい」「包み込むような」というイメージを伝えて、デザインしていただきました。

デザイナーさんもCOSMELさんから紹介していただいたのですが、本当にやさしいデザインに仕上げていただいて、よかったと思っています。

箱崎:
上西先生のお人柄から、やさしいデザインをお任せできるデザイナーさんをご紹介させて頂きました。 

デザイナーさんと一緒にクリニックまで伺って、容器デザインを選んでいただいたとき、上西先生の決断がすごく早かったですよね。
その日に決めなくてもいいのに、「これにします」って。潔いと思って、びっくりしました(笑)。

上西:
実はあれ、合成ではなくて、実際にボトルを寄り添わせて撮影しているんです。けっこう大変でしたよね、後ろをセロテープで留めたりして。

箱崎:
デザイナーさんが「セロテープが見えちゃう」とか、相当苦労なさってましたね(笑)。
ヨリソットの商品イメージが伝わるように、ライトの当て方から、2本の容器の角度まで細かく調整して。

上西先生にも立ち会っていただいて、一緒に「どれがいいかな」と考えながら作っていきました。

7.本業を支えるCOSMELのサポート&物流サービス「コスロジ」

上西:
原料の提案力や処方設計力も素晴らしかったですし、薬事チェックをしていただけたのも心強かったですね。

特に薬事はAIなどで単純に判断できるものではなく、専門的な知識が必要なので、リーフレットや販売ページでアドバイスをいただけたのはありがたかったです。

あとは、物流サービスも利用していて、おかげで安心して商品を預けておけます。

箱崎:
実は、上西先生との開発をきっかけに「商品が完成した後の保管場所も、新しく化粧品開発する方にとっては課題になるんじゃないか」と気づいたんです。

お仕事をしながら化粧品を作る方にとって、化粧品に適切な保管倉庫を探して、物流会社とやり取りして、システムの操作方法も覚えて……というのは、手間もコスト的にも負担になります。
そこで保管から配送までまとめてサポートできる仕組みがあった方がいいと思い、「コスロジ」という物流サービスを立ち上げました。

上西先生が、その第一号のお客様です。 

箱崎:
COSMELのメンバーで、実際にいくつもの倉庫を見て回りました。

ホームページではきれいに見えたところも、実際に行くと商品の扱い方などで気になる点が見つかることがありましたし。
知り合いから紹介していただいた倉庫でも、温度管理や防虫対策など、私たちが求める水準とは違う部分が見えてきて。

やっぱりホームページや紹介だけでは、安心して預けられる倉庫かはわからないんだなと実感しました。

化粧品を作る方には、できるだけ「商品を作って、販売する」という本来やりたいことに集中してほしいんです。

だからお客様の代わりに私たちが、実際に現地を見て「ここなら安心して預けられる」という場所を探し、そこから先の物流もサポートしています。

8.必要としている人に「また使いたい」と思ってもらえる商品に

上西:
「少量でもよく伸びて、ベタつかない」とか、「洗顔後これ1本でケアできて楽」といった声をいただいています。「塗ったあともしっとり感が続くのが好き」という声もありました。

中にはご家族に使ってもらったところ気に入って、「また買って」と言われたという方もいて。
そういうお声をいただけるのは、本当に嬉しいですね。

箱崎:
購入時のコメントでも、「3度目の購入です」という方がいらっしゃいました。
「2か月で1本使っていて、季節を問わず保湿ケアできるので気に入っています」という内容で、開発冥利に尽きるなと感じますね。

上西:
やっぱりテクスチャーですね。

伸びがよくて、塗ったあともしっかりその場にとどまってくれる感じがあります。
「もちっとする」という感想をいただくこともありますが、私も気に入っています。

箱崎:
何か一つが飛び抜けているというより、商品全体のバランスが魅力なのかなと思います。
1本で保湿できる手軽さもそうですし、それがデザインにも表れていて。

商品を見るだけで、その優しさが想像できるようなところも好きですね。

白野:
開発の最初から最後までテクスチャーにこだわって、本当によかったですね

上西先生の「薬ではできない使用感にしたい」という要求に応えながら、何度も試作してできたものなので、思い入れがあります。

上西:
小児試験もして、小児科クリニックにも置いていただけるようにできたらと思っています。

自分のところで販売するだけなら問題なくても、他のクリニックさんで扱っていただくなら、きちんとデータを揃えておきたいので。

白野:
小児試験は費用もかかりますし、乳児なのか幼児なのかによっても変わってきます。
どこまで試験するのかを明確にしたうえで、検討していきたいですね。

箱崎:
個人的には、子ども向けの福利厚生やギフトなどにも、こういう商品があったらいいなと思っています。
子どもにも使いやすくて、デザインも優しい。

そういう選択肢の一つとして、「yorisoT」をもっと知っていただけたら嬉しいですね。


上西:
必要なときに薬を使うことは、決して悪いことではありません。
乾燥がひどくなって肌荒れしているときや、かゆみや炎症があるときは、我慢せずに薬で治療することが大切です。
でも薬で良くなっても、また繰り返し荒れてしまうのであれば、「毎日の肌への接し方」を少し振り返ってみてほしいんです。

保湿は十分にできているでしょうか。
洗顔のとき、汚れを落とそうとして肌を擦りすぎていないでしょうか。
洗い流す水も温度が高すぎると、肌がもともと持っているうるおいを守る成分まで、一緒に流れやすくなります。

そういう毎日の習慣を見直して、肌に負担をかけることを少しずつ減らしていってほしい。

そうすれば調子がいい肌状態で過ごせる時間もきっと増えていくでしょう。
鏡を見るたびに、少しずつ自分の肌を好きになってもらえたら嬉しいです。

今回ご紹介したアイテム【ヨリソット 保湿乳液】


「毎日のスキンケアで肌を健やかに保ってほしい。」

元アトピーの現役皮膚科専門医が長年抱いていた想いを、
自ら実現させたアイテムです。

忙しい朝も、疲れた夜も、これ1本でシンプルに潤いチャージ。
乾燥や刺激でゆらぎやすい肌にもやさしく、ご家族みんなでお使いいただけます。

■こんな方におすすめ
• 乾燥・ゆらぎ肌でシンプルケアをしたい方
• 子育てや仕事で忙しく、スキンケアを時短したい方
• 小さなお子さまから大人まで、家族みんなで使える乳液を探している方

ブランド公式HP

インタビュー参加者

上西香子先生

PROJECT宙合同会社 代表

アトピー性皮膚炎の研究で博士号を取得し、
31年にわたり皮膚科専門医として診療に携わる。

大学病院での勤務を経て、
横浜市青葉区・田園都市線江田駅の近くに「えだ皮膚科クリニック」を開業。

地域のかかりつけ皮膚科として、
一人ひとりに寄り添った医療を提供している。

SNSでは、皮膚科専門医の知見をもとにした
スキンケア情報も発信中。


開発担当者

箱崎 かおり
COSMEL株式会社代表取締役
一般社団法人美容科学ラボ 代表理事


開発サポート

白野 実
COSMEL株式会社 取締役
株式会社ブランノワール 代表取締役社長


取材日:2026年9月3日
写真:吉田一之
執筆:うの